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生活音(フローリング騒音)に関する紛争

 マンションの住民同士による生活音に関する問題は、マンションが集合住宅である以上、
程度の差はあれどこにでも存在する問題であろう。
住民間の紛争がこじれた場合、訴訟による解決が図られることになるが、裁判はどのよう
な観点から判断したのか、整理しておく必要があると思われる。フローリング騒音に関す
る紛争の代表的な裁判例には、次のようなものがある。

■井の頭公園マンション事件(東京地判平成8年7月30日)
鉄筋コンクリート造3階建マンションの1階に住むAらが、真上の部屋に住むBに対し、Bが
絨毯張りの床をフローリング床に張り替え得たため、生活音の全てが断続的に階下のAの
室内に響くようになったとして、慰謝料の支払いと差止請求として、従前の床への復旧工
事を求めたものである。判決では、慰謝料請求は認めたが、差止請求は否定された。
マンションにおける騒音被害・生活妨害が不法行為を構成するか否かについて、
「平均人の通常の感覚ないし感受性を基準として判断し、一定の限度までの騒音被害・生活
 妨害は、このような集合住宅における社会生活上やむを得ないものとして受忍すべきである
 一方、受忍限度を超える場合は、不法行為を構成する。」とした。Bは騒音が生じる
 ことを認識しながら対策を講じないで規約違反をする形でフローリングに変更したこと、遮
 音材を施工すれば相当程度防音・遮音が可能であること、変更前後において、4倍以上の悪化
 があったこと、騒音が早朝・深夜に及ぶこと等を認定し、受忍限度を超える違法なものと判断
 され、慰謝料が認められた。一方、差止請求については、「差し止める事によって生じる加害
 者側の不利益と、差し止めを認めないことによって生じる被害者側の不利益を比較衡量して判
 断される。」として、それを是認するほど違法性があるということは困難として否定した。
 当件は、生活騒音における慰謝料請求を認めた事案として注目されている。

■湯島ハイタウン事件(東京地判平成6年5月9日)
当件は、フローリング床における足音、掃除機音などの生活音、子供が椅子から飛び降りたり
する音などが受忍限度を超えているとして慰謝料を請求した事案である。この場合、裁判所の
検証結果として騒音が「それほど大きくはなく・・・・・少し気になる程度」であったこと、
子供による騒音は通常短時間で終わるものであり、日常生活を営むにおいて不可避的に発生す
ること、原告自身も子供を育てていることから、被告の家族による音は受忍限度の範囲として、
慰謝料請求を否定した。

以上から、フローリング騒音が不法行為となるか否か、すなわち当該騒音が受忍限度を超える
か否かの判断については、騒音を発生させている住人が騒音防止・軽減に向けてどのような対
応をしたかという事実が、当該騒音の発生源、音量、時間帯、頻度に加えて重要な判断要素と
されている。騒音に対する受け止め方が各人の感受性に左右されるものであるため、各住民が
相互に他の住民の生活環境に配慮する姿勢が大切である。(S.K)

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