マンション管理組合お役立ち情報 第4回

マンション管理

2026年2月6日

第4回「理事会運営の工夫」

 理事会活動は、管理組合の中心的役割を担う非常に重要な仕事です。しかしその一方で、「理事会の負担が大きい」「専門的で難しい」「役員のなり手がいない」といった課題も多くのマンションで共通しています。

 今回は、理事会運営をよりスムーズにし、継続的に活動できるための工夫について整理してみたいと思います。

1.理事会運営の課題と背景

 マンション理事会の最大の特徴は、「任期制」で「専門家ではない住民」が担う運営組織であることです。つまり、メンバーが毎年交代し、知識や経験がゼロからスタートすることが多いのです。

 そのため、運営の効率化や引継ぎ体制の整備を怠ると、「議題の重複」「情報の断絶」「意思決定の遅れ」などが起こりやすくなります。

 特に昨今では、役員の高齢化や共働き世帯の増加により、「理事会に出席しづらい」「時間が取れない」といった声も増えています。こうした状況の中で、理事会が持続的に機能するには、“仕組みとしての工夫”が欠かせません。

2.「議題整理」と「見える化」で効率的な会議を

 まず、理事会の会議時間を短縮し、内容を充実させるためには、「議題の整理」と「資料の事前共有」が効果的です。

 会議の目的は、“情報共有”よりも“意思決定”にあります。そのため、管理会社からの報告事項は簡潔にまとめ、重要な議案に時間をかける構成にすると効率的です。

 また、資料や議事録を電子データで共有することで、過去の決議内容を簡単に確認できます。紙資料の保管や引継ぎの手間を軽減でき、欠席理事への情報共有も容易になります。

 最近では、オンライン理事会などを導入するマンションも増えています。時間や場所の制約を減らすことで、若い世代や共働き家庭の参加がしやすくなります。

3.引継ぎの「標準化」で継続性を確保

 理事会が毎年交代する以上、最も重要なのは「引継ぎの仕組み」を整えることです。

 例えば、以下のような方法が有効です。

 ✔ 理事会運営マニュアルを作成し、役職ごとの役割や決議手順を明記する。

 ✔ 年間スケジュール表を作り、定例議題(総会準備、点検報告確認など)を整理する。

 ✔ 理事会の記録を、誰が見ても分かる形で整理し、必要なときにすぐ取り出せるように管理する。

 ✔ 引継ぎの場を設け、管理会社も同席して次期理事へ要点を説明する。

 こうした仕組みを一度整備しておけば、翌年度以降の理事会は大幅に負担が軽くなり、組合運営の継続性が確保されます。

4.理事の「なり手不足」への対応

 近年、理事会運営において最も深刻な課題の一つが“なり手不足”です。

 「忙しい」「面倒」「知識がない」といった理由から、立候補が集まらないケースも多く見られます。

 この問題に対しては、いくつかの現実的なアプローチがあります。

 ① 役員の人数や任期を柔軟に設定する

   理事・監事の人数を最小限にし、必要に応じて補助委員を設ける。任期を1年交代制から2年制 (半数改選)にする方法も有効です。

 ② 専門委員会制度の導入

   修繕・防災・広報などテーマ別に委員会を設け、関心のある居住者が参加できる仕組みをつくることで、理事会の負担を分散できます。

③ 外部専門家や管理会社との役割分担

   法的・技術的な判断が必要な部分は、無理に理事が対応せず、専門家や管理会社に委ねることも有効です。理事会は「方針決定」に専念し、実務はプロが支える体制にする方法も有効です。

5.理事会と管理会社の「パートナーシップ」

 理事会運営を持続させる上で最も大切なのは、理事会と管理会社が信頼関係を築くことです。

 管理会社は、議事運営のサポートや資料作成、技術的な助言などを通じて理事会を支援しています。しかし、最終的な意思決定は理事会にあります。

 お互いの役割を明確にし、遠慮なく意見交換できる関係性が、円滑な運営につながります。

 理事会が「困ったときにすぐ相談できる」雰囲気を作ることも重要です。

 そのためには、月次報告や日常の打合せを形式的なものにせず、「疑問をその場で解消できる」よう心がけると良いでしょう。

 管理会社としても、理事会の立場を理解し、情報をわかりやすく提供することで、判断しやすい環境づくりを支援してまいります。

6.まとめ ― 「続けられる理事会」が良い理事会

 理事会の活動は、建物の管理水準を左右し、ひいてはマンションの資産価値を左右します。

 どれほど立派な規約や計画を作っても、理事会運営が滞れば実現できません。

 大切なのは、「完璧を目指すこと」よりも「無理なく続けること」です。

 小さな工夫を積み重ねることで、理事会は確実に進化します。

 会議の短縮、データの共有、引継ぎの明文化、役割分担の工夫。それらはすべて、継続的な運営の礎となります。

 そして、理事会と管理会社が「信頼をもって協働できる関係」を築ければ、どんな課題も乗り越えられるはずです。

 私たち管理会社も、理事会の良きパートナーとして、効率的で継続可能な運営の実現を全力で支援してまいります。