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オフィスに観葉植物を置く意味とは?
グリーンレンタル
2026年6月19日
オフィスに緑が注目される背景

オフィスで働く人の多くは、一日の大半を室内で過ごす。特に都市部のオフィスでは、窓があっても近くに自然が見えるとは限らず、働く人が緑に触れる機会は限られやすい。ビルに囲まれた環境では、通勤中も勤務中も自然を感じる時間が少なく、仕事の場はどうしても人工的で無機質な空間になりがちだ。そうした中で注目されているのが、観葉植物や室内緑化である。観葉植物は単なる飾りではない。空間の印象をやわらげ、働く人が落ち着いて過ごせる環境をつくる要素になり得る。もちろん、植物を置けば必ず生産性が上がるわけではない。しかし、オフィスの快適性や満足度、会議室での話しやすさを考えるうえで、室内の緑は無視できない存在だ。
オフィスのグリーンは、思ったより少ない
ある調査※1では、東京23区、大阪市、名古屋市の大都市圏で働くオフィスワーカー600名を対象に、オフィス室内や自宅周辺などの緑量、緑への希求度、満足度が調べられている。実験室ではなく、実際に都市部で働く人が自分の職場の緑をどう感じているかを調査している点が特徴的だ。調査結果では、多くのオフィスで室内の緑量が乏しいと評価されていた。オフィスビルの周辺や自宅周辺の緑には地域差が見られた一方で、オフィス共用部やオフィス室内の緑は、地域に関係なく乏しい傾向がうかがえる。これは、都市のどこにあるかという問題だけでなく、オフィス内部に緑を取り入れる意識や設計がまだ十分でないことを示していると考えられる。オフィスは、効率的に働くための場所として設計されることが多い。机、椅子、収納、会議室などの機能は重視される一方で、緑のような環境要素は後回しにされやすい。しかし、働く人が長時間過ごす場所である以上、機能性だけでなく心理的な快適性も重要なはずだ。
グリーンが多いほど、満足度は高まりやすい

この調査※1では、オフィス室内でも自宅周辺と同じように、緑量が豊かなほど満足度が高い傾向が見られた。ここで興味深いのは、オフィス室内の緑への希求度が必ずしも高くなかった点である。つまり、働く人が最初から「もっと職場に緑が欲しい」と強く思っているとは限らない。それでも、緑が豊かな環境では満足度が高い傾向が見られた。これは、最初から強く求められていなくても、実際に緑があることでその価値が感じられる可能性を示している。言い換えれば、観葉植物は「強い要望がでてから導入するもの」ではなく、職場環境を少しずつ改善するための前向きな工夫として考えられる。ただし、緑を増やせば必ず満足度が上がると断定することはできない。この研究はアンケート調査であり、緑量と満足度の関係を示すものであって、因果関係を直接証明したものではない。とはいえ、オフィスに緑が少ない現状と、緑が多いほど満足度が高まりやすい傾向は、職場づくりを考えるうえで参考になる。
会議室のグリーンが、話しやすさを支える可能性
近年は、単に観葉植物を置くという考え方から、バイオフィリックデザインという考え方へ広がっている。バイオフィリックデザインとは、植物、自然光、水、音、香りなどの自然要素を空間に取り入れ、人が自然を感じられるようにする設計手法だ。ある研究※2では、会議室にバイオフィリックデザインを取り入れた場合、コミュニケーションや知的生産性にどのような影響があるかが検証されている。この研究では、単に鉢植えを並べるのではなく、樹木類と草本類を組み合わせ、森林の階層構造に近い雰囲気をつくるように植物が配置された。緑を「置く」のではなく、自然を感じやすい空間として「設計する」ことを目指したものである。実験では、バイオフィリックデザインを取り入れた会議室と取り入れていない会議室が比較され、被験者が個人ワークとグループワークを行い、ワークのしやすさや発言のしやすさなどが評価された。結果として、バイオフィリックデザインを取り入れた会議室は、室内回復特性やワークのしやすさの主観評価で高く評価された。

室内回復特性とは、その空間が気分転換や心理的な回復につながりやすいと感じられるかを評価する考え方で、簡単に言えば「その場所にいると気持ちが整う」「頭が疲れたときに過ごしやすい」と感じられるかどうかに近い。植物のある会議室では、発言しやすい雰囲気やワークのしやすさについても高く評価された。会議室に緑を取り入れることが、話し合いの場の緊張感を和らげ、参加者が過ごしやすい雰囲気をつくる可能性がうかがえる。一方で、グループコミュニケーションの成果については、バイオフィリックデザインの明確な効果は確認しきれなかった。発話量が多く、長く話したグループほど成績が良い傾向が見られたものの、その結果を植物の効果だけで説明することは難しい。植物が好きかどうかという個人差が、主観評価やパフォーマンスに影響する可能性も指摘されている。つまり、植物のある会議室が必ず会議の質を高めるとは言えない。それでも、話しやすさやリラックス感を支える空間要素の一つとして、バイオフィリックデザインは検討する価値がある。研究の限界にも触れておきたい。アンケート調査である※1も、特定の実験条件下で行われた※2も、緑が満足度や働きやすさを直接的に保証するという因果関係までは証明していない。あくまで「緑がある環境ほど、こうした評価が高まりやすい」という傾向が見えてきたにすぎない点は、押さえておきたいポイントだ。
大切なのは、置くことではなく、どう活かすか
2つの研究から見えてくるのは、観葉植物や室内緑化は単に置けばよいものではないということだ。観葉植物を置けば社員満足度が必ず上がるわけでも、会議が必ず活発になるわけでもない。効果を期待するなら、植物の量、配置、視界への入り方、空間の目的、利用者の好みを考える必要がある。場所ごとに考え方も変わってくる。執務スペースでは、作業の邪魔にならず、ふと顔を上げたときに視界に自然に入る位置に置くとよい。デスクの並びの端や、通路と座席の間のパーティション代わりに中型の鉢を置くと、視線が緑で区切られ、圧迫感を抑えながら自然な存在感をつくれる。休憩室では、緑が気分転換のきっかけになるように、椅子からよく見える位置や窓際に配置すると効果的だ。葉の大きい植物を一鉢置くだけでも、短い休憩時間に視線を移しやすくなる。会議室では、圧迫感を与えず、話し合いの妨げにならないようにする必要がある。参加者の視界の端に入る壁際や、入口から見える位置に植栽を置くと、堅い雰囲気を和らげながら邪魔にならない。植物は空間を整える要素であり、主役ではない。働く人がその場所をどう使うのかを考えたうえで取り入れることが重要だ。
グリーンは、職場を整えるための選択肢

オフィスに観葉植物を置く意味は、単なる装飾にとどまらない。都市部のオフィスでは働く人が緑に触れる機会が限られやすく、室内の緑も乏しいと感じられている。※1の調査からは緑が豊かなほど満足度が高まりやすい傾向が、※2の研究からは植物を取り入れた会議室が回復感やワークのしやすさ、話しやすい雰囲気を支える可能性が見えてきた。ただし、コミュニケーションの成果への明確な効果は確認しきれておらず、好みなどの個人差も考慮する必要がある。観葉植物や室内緑化が、オフィスの課題を一気に解決してくれるわけではない。しかし、働く人がどのように空間を使うかを考えながら取り入れれば、満足度や快適性を後押しする小さな一手にはなる。まずは執務スペースか休憩室、いずれか一か所に一鉢置いてみることから始めてもよいかもしれない。
オフィス内に設置する観葉植物については、植物に対する基本的な情報と適切な栽培管理が求められます。レンタルグリーンの採用には、適切な栽培管理の経験と実績のある業者選びが大切です。オフィス環境改善に向けて、観葉植物の設置をお考えの方は、京葉ビルサービスのグリーンレンタル(※定期清掃契約のオプションサービス)について、是非お問合せください。(☏047-484-0949)
参考文献
※1 www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/44/1/44_105/_pdf/-char/ja 加藤祥子・羽原康成・合掌顕・下村孝・松原斎樹(2018)「大都市圏のオフィスワーカーへのアンケート結果から見たオフィス室内の緑への量的評価と希求度および満足度」『日本緑化工学会誌』44巻1号
※2 https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/90/833/90_338/_pdf/-char/ja 平山由佳理・水野敬太・宮内海峰・長屋隆之・池内暁紀・村松正善(2025)「バイオフィリックデザインが会議室でのコミュニケーションに与える影響の評価」『日本建築学会環境系論文集』90巻833号