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観葉植物は仕事の効率を上げるのか?
グリーンレンタル
2026年5月22日
オフィスのグリーンがもたらす「集中」と「リラックス」の効果

無機質なデスクまわりに一鉢のグリーンがあるだけで、空間の印象は少しやわらぐ。パソコンや書類に囲まれた職場でも、ふと視界に観葉植物が入ると、気持ちが落ち着くことがある。では、そのグリーンは単なるインテリアなのだろうか。それとも、働きやすさや作業効率にも関係しているのだろうか。この問いを考えるうえで参考になるのが、「オフィス空間における観葉植物と人工観葉植物による作業効率と自覚症状に関する比較検証」※①という研究である。この研究では、オフィス空間で「観葉植物」「植物なし」「人工観葉植物」「観葉植物と人工観葉植物の併用」という4つの条件を比較し、作業効率や疲労感、心理面への影響を調べている。興味深いのは、本物の観葉植物と人工観葉植物で、同じ「グリーン」でありながら異なる役割が見えている点である。観葉植物はリラックスに、人工観葉植物は集中に関係する可能性が示されている。
本物の観葉植物は、疲労感をやわらげる手がかりになる
まず注目したいのは、観葉植物が疲労感に与える影響である。研究では、「自覚症しらべ」によって、ねむけ感、不安定感、不快感、だるさ感、ぼやけ感に関する25項目を5段階で評価し、疲労感を数値化している。作業後は、すべての条件で疲労感の合計値が上昇した。その中で、疲労感の上昇が最も抑えられていたのは、観葉植物の条件であった。一方、人工観葉植物では、だるさ感やぼやけ感が大きく上昇したとされている。この結果から、本物の観葉植物には、働く人の疲労感をやわらげる手がかりがあると考えられる。この結果を職場づくりに応用するなら、休憩室や面談スペースなど、落ち着きが求められる場所に観葉植物を置くことは一つの選択肢になる。ただし、研究で直接検証されたのは実験対象の執務空間であり、受付や応接スペースでの来客への印象については、今後の検証が必要である。
心理面では、観葉植物が最も良い印象を与えた
職場の雰囲気は、数字だけでは測りきれない。しかし、働く人がその空間をどう感じるかは、毎日の働きやすさに大きく関わる。心理面の調査では、観葉植物の条件が最も良い印象であり、植物なしの条件が最も悪い印象であった。観葉植物では、特に「あたたかさ」と「落ち着き」で良い印象を与えていたとされている。一方、人工観葉植物については「冷たい感じがする」と回答した人もいたが、植物なしと比べるとポジティブな印象を与えたとされている。この点から、観葉植物は「人が安心して過ごせる空間」をつくるうえで有効な可能性がある。オフィスでは、集中する場所だけでなく、気持ちを整える場所も必要である。忙しい職場ほど、休憩室や打ち合わせスペースに少しのグリーンを置くことが、職場全体の雰囲気をやわらげるきっかけになるかもしれない。
作業効率テストで高い結果を示したのは人工観葉植物
一方で、作業効率そのものを見ると、少し意外な結果が出ている。マインドマップでは、人工観葉植物の条件が827個と最も多く、植物なしの条件が542個と最も少ない結果であった。観葉植物と人工観葉植物を比較すると257個の差があり、研究では知的生産性の向上は観葉植物より人工観葉植物の方が優れているとされている。クレペリン検査でも、人工観葉植物の正答数平均が869と最も多く、植物なしは778と最も少ない結果であった。さらに、1分ごとの正答数の分散では、植物なしが最も大きく、人工観葉植物が最も小さい結果となり、人工観葉植物の場合が最も集中力が継続しているとされている。つまり、短時間で作業を進める、計算する、アイデアを書き出すといった場面では、人工観葉植物が効果的に働く可能性がある。ただし、これは「本物の植物より人工物の方が良い」という単純な話ではない。むしろ、職場で大切なのは、目的に合わせてグリーンを使い分けることである。
観葉植物と人工観葉植物は、役割が違う

今回の研究から見えてくるのは、観葉植物と人工観葉植物には、それぞれ異なる役割があるということだ。観葉植物は、ストレス軽減、疲労感の上昇抑制、あたたかさや落ち着きの印象づくりに強みがある。人工観葉植物は、マインドマップやクレペリン検査において作業成績を高める傾向があり、集中作業を行う空間に向いている可能性がある。研究でも、生理反応やアンケート調査からリラックスする環境としては観葉植物が優れており、作業効率テストから集中する空間では人工観葉植物が優れていると整理されている。研究結果を職場で活用するなら、リラックスが求められる空間には観葉植物、集中作業が求められる空間には人工観葉植物を検討するという考え方ができる。休憩室、面談室、応接スペース、集中作業エリアなどへの配置は、この研究結果を踏まえた応用案として位置づけるのが適切である。
グリーンは「量」ではなく「置き方」が大切である
オフィスにグリーンを増やそうとすると、つい「たくさん置いた方が効果がありそう」と考えがちである。しかし、研究では、観葉植物と人工観葉植物を組み合わせた現状条件では良い作業成績が得られなかったため、作業効率には植物量も関係する可能性があるとされている。ただし、植物量が多いことで具体的に何が影響したのかについては、本文では詳しく検証されていない。そのため、「植物が多いほど集中しにくくなる」と断定するのではなく、植物の量や配置が作業効率に関係する可能性がある、という範囲で捉える必要がある。グリーンを取り入れるときは、「量」だけでなく、「置く場所」と「目的」を考えることが大切である。落ち着きをつくりたい場所なのか、集中しやすい空間にしたいのか。その目的によって、本物の観葉植物を選ぶのか、人工観葉植物を選ぶのかも変わってくる。
職場で始めるなら、小規模な配置変更から検討する
観葉植物の効果を職場に取り入れる場合、研究では机上に置く植物の条件を変えて実験しているため、まずは小規模な配置変更から検討するという考え方は取り入れやすい。ただし、費用や大規模なレイアウト変更の必要性については、この研究では直接検証されていない。職場で試すなら、まずは次のような場所を見直してみるとよい。休憩しても落ち着きにくい場所はないか、職員や来訪者に、空間が冷たく感じられる場所はないか、集中したいのに、気が散りやすい場所はないか、植物を置いても動線や作業の邪魔にならない場所はどこか、水やりや手入れを無理なく続けられる場所はどこか。本物の観葉植物は、休憩室や応接スペースのように、人の気持ちを落ち着かせたい場所に向いている可能性がある。人工観葉植物は、管理の負担を抑えながらグリーンを取り入れたい場所や、集中作業を行う場所で使いやすい選択肢になる。
オフィスのグリーンは、働く人への小さな配慮になる

観葉植物は、職場を一瞬で変える即効性のある万能策ではない。けれども、働く人のストレスや疲労感に寄り添い、空間に落ち着きを生み出す小さな工夫にはなる。仕事の効率を考えるとき、私たちはついツール、システム、会議時間、業務フローに目を向ける。もちろん、それらは大切である。しかし、毎日長い時間を過ごす「空間」も、作業効率や疲労感に関係する可能性がある。少なくとも本研究では、植物の有無や種類によって、作業効率や自覚症状に違いが見られている。まずは、職場を見回してみよう。そこに一つグリーンがあるだけで、気持ちが少し軽くなる場所はないだろうか。観葉植物を、単なる飾りではなく、働きやすいオフィスづくりの一歩として取り入れてみる。まずは一鉢から、職場の見え方を少し変えることができるかもしれない。
オフィス内に設置する観葉植物については、植物に対する基本的な情報と適切な栽培管理が求められます。レンタルグリーンの採用には、適切な栽培管理の経験と実績のある業者選びが大切です。オフィス環境改善に向けて、観葉植物の設置をお考えの方は、京葉ビルサービスのグリーンレンタル(※定期清掃契約のオプションサービス)について、是非お問合せください。(☏047-484-0949)
参考 ①https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijchugoku/48/0/48_439/_pdf
「オフィス空間における観葉植物と人工観葉植物による 作業効率と自覚症状に関する比較検証」日本建築学会中国支部研究報告集 第48 巻令和7年3月 礒辺こなつ 桑原亮一