真菌検査について

カビ除去・カビ対策

2022年8月3日

真菌と言えば、一般にカビ(糸状菌)、酵母、などを指します。建物の天井・壁・床などの設備や機器の表面、人体の表面、衣類などあらゆるものが、付着の対象となります。

付着した場所に適度な水分と栄養素が存在すれば菌はそこで増殖します。

物体の表面に付着している菌を検査するには・・・

【スタンプアガー法】

真菌(カビや酵母)の汚染を検査する方法です。検査する物体の表面に培地を接触させて微生物を培地表面に移行させ、発育した菌の種別をする方法です。

【拭き取り試験法】

100c㎡(10cm×10cm)など一定面積を綿棒で拭き取り一定に希釈し培地と混釈して菌数を測定する方法です。

上記2つの方法は、カビの種類を調べる検査方法です。

温度30±1℃で3~5日培養します。カビの形態は細菌や酵母に比べて複雑ですが、基本の構造はシンプルで、菌糸と胞子の2形態です。菌糸の色によって無色菌糸か有色菌糸か、菌糸の形態によって隔壁と呼ばれる仕切りが有るのか無いのかや、また胞子の色・形態(球形、楕円形、卵形、レモン形、三日月形)、胞子の種類が単細胞分生子か多細胞分生子かなど、専門家が形態観察によってカビの種類を特定しているのです。この生物上の分類を調べることを同定といい、これを同定検査といいます。

また、空気中のカビは目に見えません。どうやって調べると思いますか?

空中浮遊菌を測定するには・・・

【落下菌試験法】

プレートの培地のフィルムを一定時間開放し、落下してきた菌数を計測する方法です。開放時間、測定位置などは目的によって異なります。

【エアーサンプラー法】

エアーサンプラ―という機器で吸引した100リットルの空気を機械内に設置してある培地の表面に衝突させて、カビを培地に付着させて菌数を計測する方法です。

上記2つの方法は、空中浮遊しているカビ数を計測する検査方法です。同定検査と同じくそのままでは測定できませんので、カビを培養して育ててカビ数を計測します。

しかし、カビを培養して育ててしまったらカビ数は増えてしまわないか疑問とおっしゃる人もいます。実は培養してもカビ数が増えるわけではないのです。検体中のカビが10個あったとしたら、これを培養しても得られるカビの集落は10個なのです。1個のカビが構成する集落が培養によってカビの量が増えて集落は大きくなりますが、集落の数自体は増えません。

そのため培地で培養し計測したカビ数は本来検体中に存在したカビ数をほぼ反映したものといえます。

カビ(真菌)検査をしてまで注意する必要があるの?

〈カビが人に及ぼす影響〉

・空気中に浮遊するカビの胞子を吸い込むことでアレルギー反応が誘発されればアレルギー性鼻炎、気管支喘息、過敏性肺炎などになり、肺炎を放置していると重篤な状態に陥る場合もあるのでカビは侮れません。空気中には目で見えることはありませんが、多くのカビ(真菌)が浮遊しています。

よく知られたもので言えば、高温多湿の気密住宅において朽ちた木部に発育などするトリコスポロン・アサヒは夏型過敏性肺炎の原因菌として知られ、そのほかハトなどの鳥類の糞、土壌枯、朽木などに生息しているクリプトコッカス・ネオフォルマンスは皮膚・肺・中枢神経などに影響を及ぼすクリプトコッカス症の原因菌として知られています。

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