実家の相続トラブル回避、共有名義はNG? ③

不動産

2025年7月30日

<共有名義になることを避ける方法>

 ここまで、実家を共有名義にすることには大きなリスクが伴うことをお伝えしました。実家に対する考えは、将来的なライフステージの変化などで変わることも十分起こりえます。そのため、一時的な処置のつもりであっても共有名義にすることは避けた方がよいでしょう。ここからは、実家の相続人が複数いる場合に、共有名義にする以外の対処法を紹介します。

1.売却して現金を等分する

 共有名義を避ける最もシンプルな方法は、売却して得たお金を相続人で等分するという方法です。土地と建物のどちらも手放すことができるので、その後の管理の手間や固定資産税のことを考える必要がなくなる点で大きなメリットがあります。

2.1人が相続し、代償金を残りの相続人に渡す

 これは複数の相続人がいる中で1人が実家を相続し、残りの相続人に代償金を渡すことで平等に利益を得るというものです。例えば、相続人が3人いる実家の価値が900万円だとしたら、実家を相続する1人が残りの2人に実家の価値の3分の1となる300万円ずつを現金で渡すというものです。

この方法であれば3人が得る金銭的メリットは平等になります。しかし、相続する1人は、実家の価値によっては多くの現金が必要となるため、現実的に難しい場合もあります。代償金の支払いを分割にする方法も考えられますが、滞納リスクなどもあるためあまりおすすめできません。

3.自分の持ち分を売却する

 実家そのものの売却には共有名義人全員の同意が必要となりますが、自分の持ち分については自由に売却できます。とはいえ、共有名義の実家の持ち分を一部得たとしても、実家を売却したり賃貸物件にしたりはできません。持ち分を購入してくれる専門業者もありますが、基本的に持ち分を購入しようとする第三者限られます。

一般的なのは、共有名義人に持ち分を売却する方法です。例えば、共有名義人が自分を合わせて2人ならば、自分の持ち分を売却することで相手の単独所有となりますので、双方にメリットが生まれやすくなります。また、実家に住み続けたいと理由で売却に反対している名義人がいれば、自分の持ち分を買い取ってくれる可能性は大いにあります。持ち分の売却は、金銭的なメリットに加え、自分が共有名義人である状態から抜け出せる点でもメリットがあります。

次回は引き続き「共有名義になることを避ける方法」のうち、4.自分の持ち分を贈与する、5.自分の持ち分を放棄する、と「実家の扱いは相続が発生する前に決めておこう」を紹介します。ぜひ参考にしてください。