実家の相続トラブル回避、共有名義はNG? ④

不動産

2025年8月8日

<共有名義になることを避ける方法>

前回、共有名義になることを避ける方法のうち、1.売却して現金を等分する、2.1人が相続し、代償金を残りの相続人に渡す、3.自分の持ち分を売却する、を説明しましたが、引き続き他の方法を紹介します。

4.自分の持ち分を贈与する

 共有名義人または第三者に自分の持ち分を贈与する方法もあります。贈与は自分の意志だけでは成立せず贈与する相手の同意も必要です。贈与の際には贈与税がかかる可能性があることに注意が必要です。贈与する持ち分の評価額が110万円を超える場合、贈与税の対象となり、贈与を受けた側(持ち分をもらった側)が贈与税を支払うことになります。

5.自分の持ち分を放棄する

 共有名義人になった後、自分の得た持ち分については放棄することも」可能です。贈与と似ていますが、放棄の場合は、特定の誰かに持ち分を渡すのではなく、放棄された持ち分は残りの共有名義人がそれぞれの所有する持ち分割合に合わせて平等に分配されます。ただし持ち分放棄によって登記上の不動産名義を変更する際は、他の共有名義人と一緒に行う必要があります。相続税法上は、持ち分放棄も贈与とみなされるので、持ち分の評価額によっては贈与税が発生する点には注意が必要です。また、放棄は共有名義人がいる際にのみ行えるもので、仮に自分以外の共有名義人が全員持ち分放棄し、自分が単独名義となった場合は放棄できません。

<実家の扱いは相続する前に決めておこう>

 実家を共有名義で相続することにはリスクやデメリットが大きく、相続人の子や孫の代まで懸念事項となる可能性を秘めています。これを避けるためには、相続が決まる前から、あらかじめ相続人となる人たちの間で話し合いをしておくことが重要です。最も避けるべきは、誰も住まず、そのまま空き家となってしまうことです。空き家となれば、相続人の誰にもメリットはありません。ぜひ今回のコラムを参考に、実家の今後について検討してみてください。

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