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実家の相続トラブル回避、共有名義はNG? ②
不動産
2025年7月14日
共有名義のリスク・デメリット
空き家を共有名義で相続することは公平感が強く、一見よい方法のように思われるかもしれません。しかし、共有名義には以下のようなデメリットやリスクがあります。
1.管理の方法でもめやすい
共有名義にして、空き家を今の状態のまま維持するにしても、管理は必要になります。その管理をどのように行うのか、誰が行うのか、その際に発生した費用負担はどうするのかなど、さまざまな問題が発生します。共有名義とは、名義人全員が平等に責任を持っている状態です。手間と費用を平等に負担することは困難であることは意識しておく必要があるでしょう。
2.売却・賃貸化・大規模修繕ができない。
相続した空き家について、「売却して現金化したい」「賃貸物件にしたい」「リフォームして自分が住みたい」というように共有名義人の中で意見が割れてしまうケースがあります。雨漏りの修理や賃貸化(賃貸で貸す)などは過半数以上の持ち分の同意があれば行えますが、売却や間取りが変わるような大規模リフォームなどは、共有名義人全員の同意がないと行うことはできません。空き家を共有名義で相続するという平等感を重視した結果、誰の希望も通らず、全員が不満を抱えてしまう可能性が大いにあります。
また、仮に売却しようと話が決まっても、売却価格や値下げのタイミングを決めるのにも全員の同意が必要になります。
3.固定資産税の支払いトラブルが起きやすい
毎年1月1日時点での所有者に支払いが求められる固定資産税は、納税通知書が届きそれをもとに支払います。共有名義で空き家を相続した場合でも、通知書は分割されず代表者に送付されます。そのため、代表者が一旦立て替えることになるケースが多く、これが原因で共有名義人の間で金銭トラブルに発展する可能性があります。
4.新たな相続でさらに複雑化する
実家を共有名義で相続した後、ある相続人が亡くなるとその相続人の持ち分は、さらに子供の世代へと相続されます。初めは兄弟たちで共有名義にしていたものが、子供世代孫世代へと相続されるにつれて、名義人の数がどんどん増えていく可能性があります。最終的には面識のない人同士でひとつの不動産を共有していたり、相続人が何人いるかも分からなくなったりすることも珍しくありません。そのような状態になると、売却や取り壊しなどに全員の同意を得ることはほぼ不可能になりますし、そもそも連絡先すら分からないことの方が多いでしょう。
次回は「共有名義になることを避ける方法」「実家の扱いは相続が発生する前に決めておこう」などを紹介します。ぜひ参考にしてください。